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切迫流産・切迫早産[私の治療]

No.5223 (2024年06月01日発行) P.55

小林千絵 (杏林大学医学部産科婦人科学教室)

登録日: 2024-06-03

最終更新日: 2024-05-28

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  • 切迫流産とは妊娠22週未満において,胎芽・胎児および付属物が排出されていない状態で,流産へ進行する可能性があると判断される臨床症状(性器出血,腹痛,頸管長短縮など1つまたは複数)を呈する状態である。
    切迫早産とは妊娠22週0日から妊娠36週6日までの妊娠中に,規則的な子宮収縮が認められ,かつ子宮頸管の開大度・展退度に進行が認められる場合や,あるいは初回の診察で子宮頸管の開大が2cm以上となっている場合など,早産となる危険性が高いと考えられる状態である。

    ▶診断のポイント

    切迫流産・切迫早産の原因として,感染(細菌性腟炎,絨毛膜羊膜炎など),頸管無力症,多胎妊娠,羊水過多,子宮頸部円錐切除術後などが挙げられるが,原因が特定できないことも多い。できる限り妊娠継続を図りたいが,絨毛膜羊膜炎が原因である場合には児の感染リスクが高くなることから,妊娠終結を余儀なくされることがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    典型的な症状は腹痛や性器出血であるが,頸管無力症や子宮頸部円錐切除術後は無症状であり,妊婦健診の経腟超音波検査で偶発的に発見されることもある。

    切迫流産に対する薬物療法はエビデンスがない。明らかに頸管無力症が原因であった場合には頸管縫縮術を検討する。早産期となっても頸管縫縮術を行う場合もあるが,最適施行時期の高いエビデンスはなく,週数が進むにつれ縫合が困難となる可能性が高くなる。まずは安静にすることが一般的である。子宮収縮抑制薬を使用する際には,副作用に十分注意し,症状が軽快したら減量や中止を検討する。子宮内感染を疑う場合は,抗菌薬の点滴投与を開始する。

    また切迫早産の管理施設に関しては,分娩後の対応も含めて自施設での管理が困難な場合,ハイリスク新生児の管理可能な施設への母体搬送を検討する必要がある。

    残り1,333文字あります

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