分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児と家族に3000万円の補償金を給付する産科医療補償制度の対象基準と掛金が2015年1月から変わる。 現行の対象基準は「在胎週数33週以上、かつ出生体重2000g以上」だが、2015年1月1日以降に出生した児を対象とする新基準は「在胎週数32週以上、かつ出生体重1400g以上」となる。これは、在胎週数による脳性麻痺の発生率を最新のデータで検証したところ、現行の33週と32週に有意差がなかったため。基準変更により対象数の年間推計は481人から571人に増える見込み。なお、2009年から2014年までに出生した児については、現行の基準が適用される。
掛金は、現行の3万円から1.6万円に引き下げる。減額となるのは、約800億円に上る剰余金を充当させるため。2009年の制度創設時には対象者数を最大800人程度と見積もり、掛金を算出したが、その後下方修正されたため、多額の剰余金が発生していた。掛金が加算されている出産育児一時金は、42万円から変更はない。
制度を運営する日本医療機能評価機構は18日、産科医療補償制度運営委員会を開催し、制度改正に向けて、順調に体制整備が進んでいる状況を報告した。この中で、岡井崇委員(総合母子保健センター愛育病院院長)は、制度開始からの6年間を振り返り、「制度が始まったことで、産科医療全体で医療安全と質の向上への機運が高まった」と評価し、今後の周産期死亡率減少に期待した。