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潰瘍性大腸炎[私の治療]

No.5251 (2024年12月14日発行) P.37

福井寿朗 (関西医科大学内科学第三講座准教授)

長沼 誠 (関西医科大学内科学第三講座教授)

登録日: 2024-12-12

最終更新日: 2024-12-10

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  • 典型例では,病変は直腸を含み口側の大腸に向け連続性・びまん性のびらん・潰瘍を形成する非特異性大腸炎であり,わが国では指定難病に認定されている。30歳以下の成人に多いが,小児や50歳以上の年齢層にもみられ,患者数は22万人以上と推定される。原因は不明で,腸管バリア機能異常や腸管免疫恒常性破綻が考えられている。慢性下痢・腹痛・粘血便と様々な程度の全身症状を認め,再燃・寛解を繰り返す。罹病期間が長い場合,発がんリスクが問題となる。

    ▶診断のポイント

    現病歴・既往歴・家族歴・生活歴・渡航歴・治療歴・投薬歴などを詳しく聴取し,理学的検査や血液検査を行う。特に初回発症時や急性増悪時は各種感染症検査を実施し,感染性腸炎を除外することは不可欠である。下部消化管内視鏡検査や生検を行い,特徴的な大腸病変(直腸から連続するびまん性炎症・発赤調粘膜・血管透見性消失・膿性粘液付着・出血を伴う脆弱性粘膜・びらん・潰瘍など)を確認し,他の疾患を除外する。腸管外症状として,結節性紅斑・壊疽性膿皮症など皮膚疾患や関節炎を合併することがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    まず緊急手術を考慮すべき重症型・劇症型の場合は,早期から外科と連携し治療方針を検討する。それ以外の患者の治療法は,重症度・罹患範囲・QOL(生活の質)を考慮し薬剤等を選択する。活動期には寛解導入治療を行い,寛解導入後は再燃予防のため寛解維持治療を継続する。寛解を得られない場合や急性増悪・再燃を起こした場合には,前回の活動期と同じ治療法が奏効しないことや,より重症化することもあり,これらの治療歴を参考に選択する。寛解や治療効果の判定には,臨床症状や内視鏡検査を用いる。便潜血・便中カルプロテクチン・血清LRGは非侵襲検査として活動性評価に有用である。

    【治療上の一般的注意&禁忌】

    〈注意〉

    中等症〜重症や難治例では,副腎皮質ステロイド・アザチオプリン・タクロリムス・抗TNF-α抗体・抗α4β7インテグリン抗体・α4インテグリン阻害薬・ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬・抗IL-12/23抗体・抗IL-23抗体・血球成分除去療法などが選択されるが,免疫抑制を伴う治療においては,肺結核・肝炎・ニューモシスチス肺炎・細菌性肺炎など感染症に留意し,適切なスクリーニング・モニタリングを実施の上,発症予防のための薬剤投与を考慮する。

    〈禁忌〉

    • JAK阻害薬は妊娠患者には禁忌となっている。
    • 免疫抑制的治療中の生ワクチン接種は原則禁忌となるため,抗体価の測定結果に基づき治療薬投与前の生ワクチン接種を検討する。免疫抑制的治療は生ワクチン接種の1カ月後より開始すること,免疫抑制的治療中の場合は,治療を中断後3カ月以降に生ワクチンを接種することが推奨される。

    WEBコンテンツ「潰瘍性大腸炎 外来フォローのキモ」

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