大腸粘膜から発生し内腔側に突出した隆起性病変を大腸ポリープ(colorectal polyp)と総称する。大腸ポリープは,腫瘍性および非腫瘍性に組織学的に分類され,腫瘍性にはがん,腺腫,SSL(sessile serrated lesion)が含まれ,腺腫が最も頻度が高い。非腫瘍性には過形成性,過誤腫性,炎症性ポリープなどが含まれる。腺腫性ポリープにおいて遺伝子異常が蓄積して大腸癌に至る腺腫癌化説に基づく発がん経路がメインルートと考えられており,同病変への内視鏡的切除は,大腸癌の発生率および死亡率低下につながることが科学的に証明されている。一方,過形成性ポリープは,がん化しない病変として取り扱われている。
内視鏡による診断の精度が最も高い。発見したポリープの鑑別診断(腫瘍・非腫瘍,がん・非がん)を正確に行うために画像強調(もしくは色素撒布)と拡大内視鏡を用いた観察を行い,JNET(The Japan NBI Expert Team)分類やpit pattern分類を用いた精度の高い内視鏡診断が求められる。
大腸癌の発生率および死亡率低下を目的に,腺腫性ポリープはその径にかかわらず内視鏡的切除を行う。1cm未満の腺腫に対しては,内視鏡的切除に伴う偶発症発症リスクの低いコールドポリペクトミーの適応となる。5mm未満の腺腫は担がん率の低さから経過観察も容認されるとの意見があるが,非切除でよいというエビデンスは乏しく,また,その場合の確立した経過観察法はない。1cm以上,またはがんを疑う病変には,高周波を伴う内視鏡的切除法にて切除する。SSLと診断されたポリープも腺腫と同様に内視鏡的切除の適応となる。
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