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総コレステロールの考え方は?なぜリポ蛋白をコレステロールと呼ぶ?

No.4798 (2016年04月09日発行) P.62

坂根直樹 (国立病院機構京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室室長)

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

No.4776(2015年11月7日号)本欄に「総コレステロールの中には,動脈硬化を促進する悪玉コレステロールと動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールの2種類があります。(省略)この2種類を合わせたのが,総コレステロールです」とあります。
(1) IDL(中間比重リポ蛋白),VLDL(超低比重リポ蛋白)は総コレステロールの中には含まれないのでしょうか。
(2) IDL,VLDL,HDL(高比重リポ蛋白),LDL(低比重リポ蛋白)はリポ蛋白であるのに,なぜ「コレステロール」と呼ばれているのですか。
国立病院機構京都医療センター・坂根直樹先生にご解説をお願いします。 (高知県 F)

【A】

(1)総コレステロールにおけるIDL,VLDL
水に溶けないコレステロールや中性脂肪などの脂質は,アポ蛋白と結合して血液中をリポ蛋白として流れています(脂質+アポ蛋白=リポ蛋白)。リポ蛋白は,肝臓で産生され,VLDL,IDL,LDLとなり,末梢組織にあるLDL受容体に取り込まれます。末梢組織の過剰なコレステロールは,HDLによって肝臓に回収され,胆汁酸として排出されます。総コレステロールは,VLDL,IDL,LDLとHDLに含まれるコレステロールを合計したものになります。健康診断や医療機関では,総コレステロール,LDLコレステロール(LDL-C),HDLコレステロール(HDL-C)の中から2項目と中性脂肪が測定されるのが一般的です。血清脂質の結果を患者に説明する際には,健康に関する知識レベルに合わせることが大切です。
たとえば,患者から「総コレステロールとは何ですか?」と尋ねられたら,「総コレステロールの中には,動脈硬化を促進する悪玉コレステロールと動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールの2種類があります(実際にはリポ蛋白ですが)。この2種類を合わせたのが,総コレステロールです」と検査結果に基づいて説明するのがわかりやすいようです。さらに,「LDLコレステロールが高いのでどうしたらよいですか?」と尋ねられた場合に,筆者は肝臓→VLDL→IDL→LDLとLDL受容体を示す簡単なイラストを描いて,肝臓でコレステロールをつくらないためには減量,節酒,血糖管理が重要だと説明しています(図1)。そして,リポ蛋白リパーゼを活性化するには運動をすること,LDL受容体活性の働きを高めるためには飽和脂肪酸を摂りすぎないことが大切だと説明しています。
(2)LDL,HDLとコレステロール
LDL-Cとは,LDLに含まれるコレステロールのことです。つまり,「LDL≠LDL-C」です。現在のところ健康診断や医療機関で,VLDL,IDL,LDL,HDLなどのリポ蛋白を測定するのは一般的ではありません。また,総コレステロール,HDL-C,中性脂肪などの測定系は安定しており,疫学的なデータも充実しています。そのため,コレステロールが管理目標値として用いられています。筆者は電子カルテに記載する際には,LDLではなく,LDL-Cと記載するように心がけています。

【参考】


坂根直樹:Nutrition Care. 2015;秋季増刊(4):79-85.

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