米国心臓協会(AHA)は今年1月、女性の急性心筋梗塞に関する初めての声明を発表した。そこでは、女性の心疾患診断率や治療率は男性と比べて低く、症状や冠動脈病変が非典型的であることを指摘。その上で、虚血性心疾患の臨床像と予後に性差があることを理解することが女性の心臓発作の予防と治療のために重要であり、女性患者も治療について医師と素直に話し合うべきだと強調した。
AHAの声明を受けて、日本性差医学・医療学会(理事長=下川宏明東北大循環器内科教授)も2月、「わが国における女性の虚血性心疾患の克服に向けた声明」を発表した(表1)。
声明発表に先立ち学会では、虚血性心疾患に関する国内の研究を精査。日本における性差の現状を整理した上で、「日本人の人種的特徴やわが国の社会的・文化的背景を踏まえた上で、虚血性心疾患における性差に基づく医学研究・医療が推進されることが望まれる」と訴えた。
国内研究を調査し、声明作成に関わった樗木晶子氏(九大教授)に、女性の虚血性心疾患治療の課題を聞いた。
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