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胎児心拍数モニタリング

No.4733 (2015年01月10日発行) P.49

増山 寿 (岡山大学産科・婦人科准教授)

平松祐司 (岡山大学産科・婦人科教授)

登録日: 2015-01-10

最終更新日: 2016-10-26

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50年以上の歴史がある胎児心拍数モニタリングは,胎児心拍数波形の形態的な分類から始まった。その後,動物実験により各パターンの生理的意義が裏打ちされ,臨床的意義も認められ,児の短期予後は改善した(文献1)。しかし,脳性麻痺の頻度は減らず,期待されたほど長期予後に良い効果が認められないばかりか,帝王切開や器械分娩などの医学的介入の増加を招いている(文献2)。
胎児心拍数波形の評価方法が一定でなく,検者間誤差が大きく,また胎児機能不全の診断に基づく処置が医師によって異なることが,その原因の1つと考えられた。そこで,胎児心拍数波形について共通認識を持つために用語や定義が2003年に改訂された(文献3)。続いて2008年に,諸外国に先駆けて,胎児心拍数波形に基づく臨床的な処置に対するアルゴリズムとして,レベル1~5に分類する胎児心拍数波形分類判定基準とそれぞれのレベルに基づく対応と処置が記載された,胎児心拍数波形の分類に基づく分娩時胎児管理の指針が作成された(文献4)。この指針は2010年に改訂され(文献5),『産婦人科診療ガイドライン―産科編2014』(文献6)に掲載され,広く周知されるようになった。有効性の検証を行い,さらに見直される予定である。

【文献】


1) Vingtzileos AM, et al:Obstet Gynecol. 1993;81 (6):899-907.
2) Nelson KB, et al:N Engl J Med. 1996;334(10): 613-8.
3) 周産期委員会:日産婦会誌. 2003;55(8):1205-16.
4) 周産期委員会:日産婦会誌. 2008;60(6):1220-9.
5) 周産期委員会:日産婦会誌. 2010;62(10):2068-73.
6) 産婦人科診療ガイドライン─産科編2014作成委員会, 編:産婦人科診療ガイドライン─産科編2014. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会, 2014, p241-51.

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