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胃GISTの治療

No.4748 (2015年04月25日発行) P.54

後藤秀実 (名古屋大学消化器内科教授)

登録日: 2015-04-25

最終更新日: 2016-10-26

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GIST(gastrointestinal stromal tumor)とは,消化管筋層にある「カハール介在細胞」の前駆細胞から発生する腫瘍である。頻度は10万人に1~2人と稀で,胃に発生する頻度が60~70%と高い。腫瘍が大きくなっても自覚症状は少ない。ただし,腹痛や腫瘍からの出血による下血や貧血などの症状が現れることがある。
GISTを含めた消化管粘膜下腫瘍は,非腫瘍粘膜に被覆されるため内視鏡下生検による組織診断は困難であるが,2010年に保険収載されたEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺生検法)は,超音波内視鏡観察下の穿刺生検による組織診断を可能とした。
GISTの治療は,転移を伴わないGISTに対しては外科的局所切除であり,切除面積を最小限にとどめる低侵襲治療が期待されていた。胃GISTには胃内腔に発育するタイプと壁外に発育するタイプがあり,内腔発育型GISTに対しては腹腔鏡での視認性が不良となり,結果的に切除面積が大きくなることが課題であった。
比企ら(文献1)によって考案されたLECS(laparoscopy endoscopy cooperative surgery)は,腹腔鏡下外科手術と,早期胃癌に対して行われる胃ESD(endoscopic submucosal dissection)治療を併用し,内腔側から胃ESD手技を用いて切開を加えることにより,より低侵襲な腹腔鏡下切除を可能とする。2014年に保険収載されたことから,EUS-FNAにて組織診断された小さな内腔発育型胃GISTに対する低侵襲なLECS治療が標準治療となりうる。

【文献】


1) Hiki N, et al:Surg Endosc. 2008;22(7):1729-35.

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