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子宮内黄体ホルモン放出システムによる月経困難症の治療

No.4769 (2015年09月19日発行) P.58

篠原康一 (愛知医科大学産科・婦人科准教授)

登録日: 2015-09-19

最終更新日: 2016-10-26

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黄体ホルモンであるレボノルゲストレル(52
mg)を子宮内避妊用具に付加した製剤〔レボノルゲストレル放出子宮内避妊システム(IUS)〕は,「避妊」では既承認であったが,月経困難症への効能・効果では薬価収載されていなかった。しかし,2014年11月に月経困難症に保険適用された。
同剤は,海外において避妊を目的として開発されたものであるが,避妊に関する無作為化比較試験とともに,月経困難症に対する効果についても評価したデータでは,月経困難症を訴える被験者の割合が,対照群である低用量経口避妊薬群ではベースラインから投与12カ月後に上昇したが,同剤群では低下を示した。一方,国内での健康な女性を対象に避妊効果を検討した臨床試験では,同剤の使用により53.2%の被験者で月経時の疼痛の緩和が認められている(文献1)。
本剤は,海外における同剤の月経困難症に関する臨床試験の用量と同様に,同剤52mg 1個を子宮内投与する。効果は最長5年間とされている。
昨今,OC/LEP(経口避妊薬/低用量エストロゲン─プロゲスチン)の副作用が社会的に心配されている中,40歳以上の女性や,高血圧や肥満合併,妊娠高血圧症候群既往者,喫煙者など,OC/LEPの副作用が懸念される世代や,慎重~禁忌症例にも,より安全な避妊と,月経困難の改善をもたらすことが期待される。

【文献】


1) 丸尾 猛, 他:診療と新薬. 2006;43(11):33-50.

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