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原発性アルドステロン症の診断における副腎静脈サンプリングの意義 【誤った副腎切除を防ぐために,確定診断後には治療方針決定のために副腎静脈サンプリングを考慮】

No.4781 (2015年12月12日発行) P.54

中野恵一 (福島県立医科大学甲状腺内分泌学)

鈴木眞一 (福島県立医科大学甲状腺内分泌学主任教授)

登録日: 2015-12-12

最終更新日: 2016-10-26

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原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)の患者数は,わが国においては300万人以上と類推されており,決して稀な疾患ではない。2009年に診断治療ガイドライン(文献1)が刊行され,スクリーニング法が一般医家にも広く知られるようになり,PAと診断される症例も増加してきている。
PAは画像検査で腫瘍像が発見できない微細な腺腫によるものがほぼ半数を占めること(文献1),また,アルドステロン非産生の腫瘍が合併しうることなどから,画像診断のみで原因病変の局在診断を行うべきではない。画像診断のみで手術を施行した場合には,20~50%の確率で,誤った副腎が切除されるとの報告(文献2)もある。
したがって,PAの確定診断後は治療方針決定のため副腎静脈サンプリング(adrenal venous sampling:AVS)を考慮すべきである。AVSは左右の副腎静脈と下大静脈から血液を採取し,アルドステロン,コルチゾールを測定することにより,アルドステロン分泌が片側優位か,もしくは両側からか,すなわち,機能局在を診断する検査である。
現在,AVSの手技の標準化が進められており(文献3),多くの施設で検査ができるような体制づくりが求められている。

【文献】


1) 西川哲男,他:日内分泌会誌. 2010;86(Suppl):1-19.
2) Rossi GP, et al:Hypertension. 2014;63(1):151-60.
3) Umakoshi H, et al:Clin Endocrinol (Oxf). 2015 Jun 30.[Epub ahead of print]

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