2003年に持効型インスリン製剤として,現行のインスリングラルギンが日本の臨床現場に登場した。その後,インスリンデテミル,インスリンデグルデクが加わり,選択肢に広がりを見せた。そして2015年より,新たにインスリングラルギンBS,ランタスRXRの2種類の持効型インスリン製剤が登場し,注目を集めている。
インスリングラルギンBSは,日本初となるインスリン製剤のバイオシミラー(バイオ後続品)である。インスリングラルギンと同じアミノ酸配列を有し,同等・同質の品質,安全性および有効性が確認されている(文献1)。また,バイオシミラーであることから価格が安いことも特徴で,患者の経済的負担の軽減につながることが期待されている。
ランタスRXRは,ランタスの有効成分であるインスリングラルギンを3倍の濃度にした製剤である。皮下注射後,速やかに等電点沈殿を起こし,沈殿物がより小さく,溶解速度が低下するため,平坦で,24時間以上安定した血糖降下作用を示すと考えられている。夜間低血糖および24時間低血糖の発現率が低く,体重の変化量が少ないとの報告もある(文献2)。また,3倍の濃度になったことで液量が減り,1本当たり450単位のインスリンが充塡されていることも特徴である。
1) Rosenstock J, et al:Diabetes Obes Metab. 2015;17(8):734-41.
2) Becker RH, et al:Diabetes Care. 2015;38(4):637-43.