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重症喘息患者に対する新たな治療戦略:気管支温熱療法  【予定外受診頻度の低下や,吸入ステロイドの維持量の減量が可能に】

No.4790 (2016年02月13日発行) P.50

金光禎寛 (名古屋市立大学呼吸器・免疫アレルギー内科)

登録日: 2016-02-13

最終更新日: 2016-10-26

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全世界で2億人以上が喘息に罹患しているが,そのうちの10%が重症持続型の喘息となり,喘息で消費されている医療費による経済負担の80%がこれらの患者で説明される。重症喘息患者に対し,抗IgE抗体や抗IL-13抗体といった,モノクローナル抗体療法が新たな治療として現れているが,アトピー素因を有さないためにそれらの薬剤の効果が期待できない患者や,薬剤の効果が期待されるにもかかわらず,喘息のコントロールができない患者も存在する。
気管支温熱療法は重症喘息患者の気管支平滑筋をターゲットとした新たな治療法であり,わが国では2015年に保険適用となった。気管支鏡下にカテーテルを挿入し,中枢気道の気管支平滑筋をアブレーションすることで気管支平滑筋容積が減少し,気道過敏性の改善,喘息症状やQOLの改善,増悪回数の減少をもたらす。また,気管支温熱療法の実施後5年が経過しても,喘息発作の回数や救急外来による予定外受診の頻度の低下が維持されているだけでなく,18%の患者で吸入ステロイドの維持量の減量を認めたことが報告(文献1)されている。
気管支温熱療法は安全に実施できる新たな重症喘息治療として有用であり,今後わが国でも適応症例には積極的に実施される治療法と考える。

【文献】


1) Wechsler ME, et al:J Allergy Clin Immunol. 2013;132(6):1295-302.

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