日本医師会と日本医学会は11月30日に合同で記者会見を開催した。医学研究での個人情報の取り扱いに関する倫理指針の見直しを検討している厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省合同の有識者会議の議論について、医学研究が滞ることなく、研究成果の国民の健康・福祉の発展への寄与を改正個人情報保護法が妨げないとの方向性が打ち出されたとして、「極めて評価できる」とする見解を発表した。
改正個人情報保護法が2015年9月に公布されたことを受け、3省は今年4月に合同会議を設置。同法の施行が来春であることから「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」など3指針の見直しも来春施行を目指し、議論している。合同会議の議論に対して日本医学会は8月、「法に規定されていない上乗せの規制までも課すとしている」などとして「わが国の医学研究が大きく停滞することが危惧される」との懸念を示し、慎重な議論を求める要望書を3省に提出していた。
日医と日本医学会が今回発表した見解では、今般の合同会議の議論の中で「医療・医学の進歩に向けた学問分野での研究が滞ることなく、その研究成果が国民の健康及び福祉の発展に寄与することを改正個人情報保護法が妨げないという方向性が打ち出された」と高く評価。今後も医師の倫理に基づく学問研究の環境整備について継続に議論する場を設けるよう要望している。
記者会見で日本医学会の高久史麿会長(写真右端)は、「十分に個人情報を守りながら、しかも医学研究を進めていくという現在の方向は間違いないものと考えている」と述べ、合同会議の議論を見守っていく考えを示した。