【質問者】
森本有里 森本医院院長
わが国は既に超高齢社会に突入しており,厚生労働省も今後「施設を含めた在宅看取り」を推進しています。ただ,わが国の在宅看取り率は,欧米に比べて低い状態が続いており,特に高齢者施設での看取り率は,海外の20~30%に比べて3.5%と低い状態です。
一昨年,神戸市医師会で施設看取りに関連したアンケート調査をしましたところ,予想通り,施設間格差が非常に大きいことが明らかになりました。夜間看護師不在の施設も多く,そのような施設では,夜間の吸引および坐薬挿入ができない施設も多数みられました。また,夜間の麻薬の頓服介助に関しては,アンケートに答えて頂けた314施設の中で7%だけが可能でした。
質の高い施設看取りを増やすために,以下のような点を挙げてみました。
(1)施設管理者,看護部管理者の意識変革および「終末期と看取り」研修会開催
過去に18施設で看取りを経験しましたが,上記管理者のいずれかが看取りに消極的な場合は,スタッフとの連携もうまく取れず,医療・看護すべて外付けでの対応になりました。このような施設では,入居者の「これまでの生きざま」「今の時点での希望」などに対する関心が薄く,ご家族とのコミュニケーションもうまくいかない例が多々ありました。看取りに関してのチームがうまく動けなかった施設に対しては,出前トークの「終末期と看取り」に関する研修会を提案しており,改善がみられた施設もあります。
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