産科医療補償制度を運営する日本医療機能評価機構は1日、補償対象となった脳性麻痺児の看護・介護の状況を初めて明らかにした(表)。9割が在宅で生活し、2割が人工呼吸器を使用しているなど、保護者への支援の重要性が浮き彫りとなった。
産科医療補償制度は分娩に関連して発症した脳性麻痺児と家族に総額3000万円の補償を行うとともに、脳性麻痺の原因を分析し、再発防止策を検討する制度。補償金は最初に600万円が支払われた後、毎年120万円が20回支払われる。脳性麻痺児と家族が補償金を受け取る際、看護・介護の状況等を記載する専用の診断書を機構に提出することになっており、機構は2016年に診断された1282件を対象に診断書の各項目を集計した。
集計結果について委員からは、「NICUの重症度に匹敵する」(楠田聡委員・東京女子医大)など、医療的ケアを行う保護者の負担を懸念する意見が相次いだ。木下勝之委員(日本産婦人科医会)は「お母さんは(健常者の母親と同様に)就労が可能なのか、ヘルパーや訪問看護の費用はどれくらいなのか、現在の補償額で足りているかなど、もっと詳細に調査してほしい」と要望。機構は今後詳細なアンケート調査の実施を検討するとした。