3月末に改訂予定の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(用語解説)の内容を検討する文部科学省の専門研究委員会が2月22日、厚生労働省の臨床研修に関するワーキンググループと合同会議を開催した。臨床実習や腫瘍に関する記載の充実を盛り込んだコア・カリキュラムの改訂案を文科省委員会の北村聖委員(国際医療福祉大院教授)が報告した。
今回の改訂案は「多様なニーズに対応できる医師の養成」を目指して取りまとめられた。医学教育を通じて修得を求める9つの「医師として求められる基本的な資質・能力」は、新たに「医療の質と安全の管理」を追加するなどの見直しを行い、臨床研修の到達目標などと整合性を図っている。
具体的な改訂内容としては、診療参加型臨床実習の項や腫瘍に関する記載を拡充し、地域医療や地域包括ケアシステムの教育についても盛り込んだ。臨床実習の項に追加された「臨床推論」では、主な症候・病態ごとに頻度・重症度を考慮した想定すべき鑑別診断例を記載した。例えば「発熱」に関して実習中に経験してほしい疾患の例として肺炎、結核、尿路感染症、悪性リンパ腫、腎細胞癌、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、熱中症を列挙している。北村委員は「今回の改訂でこれが最も大きな挑戦だ」と述べた。
コア・カリキュラムは文言修正を経て、3月末に改訂・公表される。それを踏まえて各大学が2017年度中にカリキュラムを策定し、2018年度から新たなコア・カリキュラムに基づく教育が実施される。