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関節リウマチのMTX治療における細胞内薬物濃度の民族間差 【FPGSの主要遺伝子多型の細胞内分布における差異が,MTXへの反応の民族間差に】

No.4845 (2017年03月04日発行) P.59

山本竜大 (東邦大学内科学講座膠原病学分野)

登録日: 2017-03-01

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メトトレキサート(MTX)は,日米欧のガイドラインにおいては関節リウマチ(RA)の第一選択薬とされている抗リウマチ薬である。MTXは細胞内でポリグルタメート(PG)化されて葉酸代謝関連酵素を阻害することにより薬効を発揮するが,実臨床においては,大きな個体差と用量差を認めることが知られてきた。

MTHFRとATICは葉酸代謝関連酵素であるが,MTHFRやATICの一部の遺伝子多型は,MTXの治療効果や副作用出現に関連すると報告されている1)。しかし,MTHFRやATICの一部の遺伝子多型のみでは十分にそれは説明できない。RAにおいては,細胞内MTXの濃度が,MTXの治療反応性予測因子になりうると考えられるようになり,MTXのPG化に関与する細胞内輸送体や代謝酵素が注目されている。

筆者らは,細胞内でMTXのPG化に関わる酵素の中で,PG化酵素(folylpolyglutamate synthase:FPGS)の主要な遺伝子多型と細胞内MTXのPG濃度との関連性を検討した2)。FPGS 1994A>G,2572C>Tの遺伝子多型が認められる場合,MTXのPG化の効率が良くなることを証明した。さらに,この遺伝子多型の分布は,欧米人と比較して明らかな有意差があり,人種間差によるMTX反応性や耐薬性を説明する要因である可能性が示唆された。

【文献】

1) Malik F, et al:Pharmacogenomics. 2013;14(3): 305-14.

2) Yamamoto T, et al:Sci Rep. 2016 Oct 18;6:35615.

【解説】

山本竜大 東邦大学内科学講座膠原病学分野

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