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元社員に無罪判決もデータ改竄は認定 ─「裁判所「論文掲載は薬事法で規制する広告には当たらない」」【ディオバン論文不正事件】

No.4848 (2017年03月25日発行) P.10

登録日: 2017-03-17

最終更新日: 2017-03-17

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  • ノバルティスファーマ社の降圧薬バルサルタン(商品名:ディオバン)の論文不正事件で、薬事法違反(虚偽広告)の罪に問われた元社員、白橋伸雄被告とノバ社に対する判決が16日、東京地裁であり、辻川靖夫裁判長は無罪を言い渡した。

    2015年12月の初公判以来、元社員とノバ社は一貫してデータ改竄を否定し、無罪を主張。これに対し検察は昨年12月、「(ディオバンに)“降圧を超えた効果”があるかのように研究者に論文を投稿させた前代未聞の悪質事案」と批判し、元社員に2年6月、ノバ社に罰金400万円を求刑した。

    辻川裁判長は、元社員がディオバン群を有利にするためにデータを改竄したなどの公訴事実は認めたものの、学術雑誌の論文掲載に購入意欲を喚起する性質があるとはいえず、薬事法(現・医薬品医療機器法)第66条1項(用語解説)が規制する虚偽広告には当たらないと判断した(表)。



    この問題を巡っては、研究不正が明らかとなったKyoto Heart Study(KHS)とJikei Heart Studyのデータを用いたディオバンの広告が薬事法違反の疑いがあるとして厚生労働省が2014年1月に東京地検に告発状を提出。これを受け東京地検は、京都府立医大の研究者が2011年と12年に発表したKHSサブ解析論文で、非ARB群のイベントを水増ししたデータを研究者に提供し論文を投稿・掲載させた行為が、医薬品の効能・効果に関する虚偽の記事の記述にあたるとして元社員とノバ社を起訴した。起訴内容がKHSサブ解析論文なのは、それ以外の論文の時効が成立していたため。

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