小児期の肺高血圧治療薬は,世界的にもほとんどがoff-labelの状態で使用されている
肺血管拡張作用以外の,細胞増殖抑制作用,線維化・肥大抑制作用,抗酸化ストレス・抗炎症作用を秘めた薬剤が長期にわたって血管壁に抗リモデリング作用を発揮する
特発性肺高血圧(遺伝性,家族性)と二次性肺高血圧(左心不全,呼吸器関連,膠原病関連,肺血栓塞栓関連など)では,3大治療薬である,PGI2,PDE5阻害薬,ET受容体拮抗薬において有効性も異なると予想される
小児に薬物療法を行うにあたっては,小児は成人と異なり様々な特徴がある(表1)。そのため,小児期の重症疾患に対しては,“right drug for the right patient at right time”ということわざに準じて,慎重な薬剤選択を心がけなくてはいけない。胎児期から思春期にわたる幅広い小児領域の診療にあたる際は,表1に示すような特徴を考慮して,成人とは異なる視点から薬物療法を考える必要がある1)。小児期は臨床試験の設定が難しく,質・量ともエビデンスに乏しい。
肺動脈性高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)は,小児領域では胎児期から思春期まで観察されている。薬物療法の主軸は,プロスタサイクリン(PGI2 )代謝活性化,PDE5阻害,そしてエンドセリン(ET)受容体経路阻害の3経路である(図1)2)。
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