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関節リウマチに対するバイオシミラー【国民医療費抑制,個人負担減のため,さらなる啓発や信頼性の獲得が必要】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.49

田中良哉 (産業医科大学第1内科教授)

登録日: 2017-06-27

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関節リウマチ(RA)の治療では,メトトレキサート(MTX)に治療抵抗性の患者に生物学的製剤が強く推奨されるが,医療費3割負担を強いるわが国では患者の個人負担増となり,しばしば治療に踏み切れない。また,国民医療費抑制という喫緊の課題にも直面し,価格を抑えたバイオシミラーの開発は国家施策のひとつとして急務を要する。

バイオシミラーは国内で既に新有効成分含有医薬品として承認された先行バイオ医薬品と同等,同質の品質,安全性,有効性を有する医薬品として,異なる製造販売業者により開発される医薬品と定義される。低分子後発品(ジェネリック)は先行医薬品と完全に同一であるため臨床試験は不要であるが,バイオシミラーは承認にあたって同等性,同質性を証明する必要があり,品質試験,非臨床試験,および臨床試験が必須である。

RAに対する最初のバイオシミラー製剤として,抗TNF抗体インフリキシマブのバイオシミラーが市販された。治験では有効性,安全性ともに先行薬と同等であり,薬剤間のスイッチでも問題なかった1)。現在,インフリキシマブなど複数のTNF阻害薬に対するバイオシミラーが,治験あるいは適応申請中である。

バイオシミラーの導入により個人負担軽減,国民医療費抑止が期待される。しかし,現状では医療現場への浸透は鈍く,市場シェアは数%と言われている。まずは医師,患者へのさらなる啓発,開発・製造企業,バイオシミラー製品の信頼性の獲得が必要であろう。

【文献】

1) Tanaka Y, et al:Mod Rheum. 2017;27(2):237-45.

【解説】

田中良哉 産業医科大学第1内科教授

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