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CASE18 関節痛と抗CCP抗体/リウマチ因子陽性であったため近医よりメトトレキサート(MTX)の投与を受け,頻繁に口内炎を発症している64歳女性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.63

酒見英太 (洛和会音羽病院副院長兼洛和会京都医学教育センター所長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    5年前に痔瘻の手術を受けた以外は特に既往歴のない65歳の独身女性。1年半前に両側“親指のつけ根”に痛みと膨隆がみられ,近くの病院を受診。リウマチ因子(RF)陽性であったため関節リウマチ(RA)としてMTX(メソトレキセート)8mg+葉酸5mg/週の処方が開始された。約1年前から口内炎が頻繁に起こるようになり,2週間前からの口内炎がなかなか治らないため受診。煙草は40~55歳の間だけ15本/日吸っていたが以後禁煙を続けており,アルコールの常飲はない。本人の知る限り薬物や食物にアレルギーはない。両手母指の“つけ根”の腫れは,MTX投与開始後2~3カ月たっても改善したという自覚はなかったという。両側の顎関節,肩関節,肘関節,股関節,膝関節,足関節,中足趾節関節にはいずれも症状はなく,悪寒・発熱・寝汗,食欲・便通・体重変化,皮疹,頭痛,眼症状,耳鼻咽喉症状,咳,呼吸苦,胸痛,腹痛,陰部症状もない。バイタルサインは正常で,結膜に充血なく,口腔は下口唇内側に5mmほどのアフタ性口内炎を認める。頸部・胸部・腹部に異常なく,脊柱・骨盤,四肢の皮膚・筋肉も正常。両下肢の関節,両側の肩関節・肘関節・手関節も正常。本人の言う“親指のつけ根”とは第1手根骨中手骨(CMC)関節のことであり,ごく軽度の圧痛を伴う骨性の腫脹を認めた。両手の中手指節(MP)関節,近位指節間(PIP)関節,遠位指節間(DIP)関節は正常であった。検査所見を表1に示す。


    検査値のどこに悩んだか

    臨床的には間違いなく変形性関節症(OA)であり,非特異的なRF陽性に基づいた過治療によって薬剤性口内炎を起こしたものと考えたが,念のため測ってみた抗CCP抗体が高値陽性であったことが意外であった。

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