株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

呼吸機能検査がなぜ重要か【COPDの過少診断からの脱却は,一般臨床の現場で呼吸機能検査をルーチンに行うこと】

No.4867 (2017年08月05日発行) P.60

一ノ瀬正和 (東北大学呼吸器内科教授)

登録日: 2017-08-01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,患者数あるいは死亡順位の上昇から早期診断・介入の必要性が明らかで,健康日本21(第二次)で対象疾患のひとつに組み入れられた。健康日本21(第二次)におけるCOPDに関する目標は「2022年度までにCOPDの認知率を80%に」ということであるが1),認知率も診断率もあまり向上していない。

COPD患者の比較的一般的な症状は労作時息切れであるが,加齢のためと思って見過ごしたり,息切れによって無意識に日常の労作(運動量)を減らしているために,実際は存在する労作時息切れを実感せず,医師にも訴えないことが多いことが,認知率・診断率の伸び悩みの原因と考えられる。

COPDは高血圧症や脂質異常症のように「患者側から治療を要求される」ことはきわめて少なく,「医療側が積極的に診断すべき疾患」と言えよう。COPDは喫煙習慣や活動の低下から糖尿病や心血管病変,骨粗鬆症などの併存症を持つ場合が多く2),慢性疾患で通院中の患者に潜む未診断のCOPDは約25%に及ぶ3)。一般臨床の現場で,呼吸機能検査をルーチンに行うこと以外に,COPDの過少診断からの脱却の道はない。

【文献】

1) 厚生労働省:厚生労働省告示第四百三十号. 2012.
[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf]

2) Barnes PJ, et al:Eur Respir J. 2009;33(5): 1165-85.

3) Takahashi T, et al:Respirology. 2003;8(4): 504-8.

【解説】

一ノ瀬正和 東北大学呼吸器内科教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top