国立がん研究センターは7月31日、希少がん(用語解説)の創薬とゲノム医療を産学共同で推進する世界初の試みである「MASTER KEYプロジェクト」を5月から開始したと発表した。
プロジェクトは2つの取り組みで構成されている。1つは、患者の遺伝子情報や診療情報、予後データを網羅的に収集し、大規模なデータベースを構築するレジストリ研究。もう1つは、がん種を限定せず特定のバイオマーカー(遺伝子異常、蛋白発現等)を有する集団に対して、特異的に効果が見込まれる分子標的薬を用いて行う治験。プロジェクトでは、レジストリ研究の登録患者のバイオマーカーに基づき、医師主導治験や企業治験を実施する。
予定登録数は年間100例。登録の要件は①16歳以上、②固形悪性腫瘍のうち、希少がん、原発不明がん、5大がんの希少分類─など。今後は1歳以上や、血液がんにも拡大することを検討中だとする。参加企業は11企業(アステラス製薬、エーザイ、小野薬品工業、杏林製薬、第一三共、大鵬薬品工業、武田薬品工業、中外製薬、ノバルティスファーマ、ファイザー、ブリストル・マイヤーズスクイブ)。医療機関は今年度中に京大が参加する。今秋にも企業治験が1件開始するほか、今年度中に3件の医師主導治験が実施予定。