ますますその役割の重要性が増している腫瘍マーカーについて,「腫瘍マーカーの実力」という切り口で,3名の方に執筆を頂いた。東京大学の安井 寛氏らには,画期的な効果を示す免疫チェックポイント阻害薬の使用に伴うマーカーや遺伝子解析の重要性について述べて頂いた。東邦大学の島田英昭氏らには,がんのスクリーニングや補助診断における留意点に加えて,治療効果の判定予測におけるHER2やKRAS蛋白の意義に触れて頂き,治療効果や再発のモニタリングとしての実力についても述べて頂いた。国際医療福祉大学の山田哲司氏には,新しい腫瘍マーカー開発をめざした次世代の戦略について,その重要性,わが国の支援体制ならびに実用化における問題点や,民間企業,アカデミアの連携について熱く述べて頂いた。
1 革新的治療と腫瘍マーカー
東京大学医科学研究所先端ゲノム医療の基盤研究寄付研究部門/附属病院血液腫瘍内科特任准教授 安井 寛
東京大学医科学研究所学術研究基盤支援室室長/客員教授 今井浩三
2 腫瘍マーカーの現状
東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科 大嶋陽幸
東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科教授 島田英昭
3 新しい腫瘍マーカーをめざして─次世代の研究開発戦略
国際医療福祉大学医学部医学教育統括センター教授 山田哲司