産婦人科における超音波検査法は,経腹法と経腟法が臨床に広く導入されている。経会陰超音波検査(以下,経会陰法)は主に下部尿路の評価方法として発展し,産婦人科領域ではまだ広く普及していない。経会陰法は会陰部に経腹用超音波端子をあてるのみの検査法であり,内診のように痛みや出血を伴うことがない。また,画像を記録できるため,再現性もあり客観的に評価できる。
近年,経会陰法で分娩様式の予測が可能であるという報告が散見されるようになってきた。分娩開始後に経会陰法にて恥骨と児頭を観察し,その位置関係を角度などから数値化し評価することで,分娩様式の予測1)および吸引分娩の成否の予測2)が可能とされる。
手指による内診法は分娩進行の評価に重要なスキルではあるが,伝承によるところが大きいため具体的な指標がなく,習得に長期間のトレーニングを要し,検者間誤差が大きい。一方,経会陰法は検者間誤差が少なく,習熟を要さず簡便に施行可能である。
分娩中の妊婦にとっては,分娩進行を画像として見ることで安心感が得られる,というメリットもある1)。宗教や信条によっては内診を望まない妊婦もいるため,経会陰法の有用性が明らかになるに従い,普及が進む可能性がある。
【文献】
1) Kameyama S, et al:J Med Ultrason(2001). 2016;43(2):243-8.
2) Bultez T, et al:Ultrasound Obstet Gynecol. 2016;48(1):86-91.
【解説】
三浦広志*1,寺田幸弘*2 *1秋田大学産科婦人科 *2同教授