厚生労働省は12日、臍帯血プライベートバンクの業務実態の調査結果を公表した。契約終了後に廃棄処分せずに保管し続けている臍帯血は約2100件あることが明らかになった。
厚労省によると、全国の1913産科医療機関から情報提供があった臍帯血プライベートバンク10社のうち現時点で活動が確認できたのは7社。調査を拒否した1社を除く6社に調査票を送付した結果、5社で臍帯血を保管していることが分かった。契約者本人や親族の治療への使用を目的とした契約に基づき、保管されている臍帯血は5社合計で約4万3700件だという。また、このほかに契約終了後に廃棄処分せずに保管し続けている臍帯血は5社合計で約2100件に上った。
厚労省は、品質管理体制が不十分で臍帯血を使用する医師が品質や安全性を確認できる状態になっていないケースや、契約終了後・廃業時の臍帯血の所有権の扱いや処分方法等が不明確なケースなどを問題視。具体的な対応策として同日、業務内容などの届け出を求める通知を発出した。さらに、契約終了後・廃業時は本人への返還か廃棄を原則とする契約書のひな型を近く提示するとしている。
臍帯血プライベートバンクの数は少なく、新規保管契約の実施事業者は2社のみであることから、厚労省は「実効性は担保できる」と指摘。今後有識者らを集めて新設する「再生医療・造血幹細胞移植合同委員会」で継続的に検証・検討する方針だとしている。