昨今,食事中の糖質(炭水化物)摂取量において,1日当たり何gが適正か,何gまでは必須か,摂取エネルギー中何%が適正かなど,様々な立場からの議論がわいた。マスメディアを巻き込んだ国民的関心事となり,かみ合わない議論も少なくなかった。その理由は,各立場において議論の対象,目的,具体的方法,評価の仕方などが異なっていたことにあると考えられる。さらに,糖尿病患者か否か,糖尿病患者であれば1型か2型か,合併症は進んでいるか否か,目的も,体重減少,食後血糖改善,嗜好性を高めるため,インスリン調整の自由度を上げるため,など様々である。具体的方法においても,どのように実現するのか,蛋白質や脂質は増やすか否か,など幅広い。
プロス&コンス双方のエキスパートによる議論の対象,目的,方法の違いに注意して本特集を熟読玩味頂ければ,必ずや個別治療に生かせるものと確信している。
1 糖質制限:プロスの立場から
北里研究所病院糖尿病センター長 山田 悟
2 糖質制限:コンスの立場から
京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学教授 福井道明
3 糖尿病の食事療法─炭水化物を巡って
永寿総合病院糖尿病臨床研究センター長 渥美義仁