エンターテインメントやゲームの分野で開発が進んだVR(仮想現実)は近年、さらに進歩を遂げ、世界的に注目されている。これを手術の安全性を高めるガイドや若手教育として活用する医師がいる。
国際医療福祉大学大学院の杉本真樹准教授に話を聞いた。
主に肝臓や腎臓、膵臓などの実質臓器や骨の手術で使います。オペ室で患者さんのCT画像を受け取り、それを基に臓器や血管、がんなど、手術に必要な情報をピックアップした3Dデータを作成します。外科医にとって必要な解剖をCT画像よりも見やすくしています。
この3DデータをVRやAR(拡張現実)やMR(複合現実)として空中に3D提示します。
例えば肝臓がんでは、血管の配置や術後の肝機能の維持を考えながら、どう切除するかを決めるのが難しい。がんが表面から見えないケースもあります。作成した3Dデータを映すVRゴーグルを被れば、患者さんの血管やがんの位置が透けて空中で立体的に見える。ゴーグルを着けた複数人で3Dデータの共有も可能です。
さらに手術部位に重ねて立体的に投影し、切除線を表示すれば、それをガイドに手術を進めることができます。
カーナビのように現在地と周囲の関連がとれ、さらに道の上に矢印があるといいですね。ナビと同時にガイドを表示できるようになったことは画期的です。