切除不能進行・再発大腸癌に有効な分子標的薬が登場し,生存期間中央値は30カ月以上と飛躍的に改善した。しかし,治療に大きく貢献した分子標的薬の適切な使いわけについて明確な選択基準は確立されていない。最近は,切除不能な転移巣の高度縮小例では積極的に転移巣完全切除を実施し,予後改善をめざす新たな治療戦略も検討されている。このような成績改善の一方で,高額な医療費が患者個人や社会全体に大きな負担となり,分子標的薬の新たな課題となっている。
1 切除不能進行大腸癌に対する分子標的薬の位置づけ
香川大学医学部・医学系研究科臨床腫瘍学講座 大北仁裕
香川大学医学部・医学系研究科臨床腫瘍学講座教授 辻 晃仁
2 切除不能肝転移に対するconversion chemotherapy 戦略での分子標的薬
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科総合外科学分野教授 植竹宏之
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科総合外科学分野講師 石川敏昭
東京医科歯科大学大学院応用腫瘍学講座准教授 石黒めぐみ
3 分子標的薬時代における抗癌剤治療のvalueについて
高知医療センター副院長,腫瘍内科長 島田安博