【質問者】
井上裕美 医療法人沖縄徳州会湘南鎌倉総合病院産科部長
小児科医であり乳幼児精神保健の先駆者の1人である英国のWinnicottは「ひとりの赤ん坊というものは存在せず,母と対をなす赤ん坊しかない(There is no such thing as a baby. A baby is always a part of someone, the mother)」と述べており,親子を関係性の視点でとらえることの大切さを提唱しています。
親子の心身は互いの関係性の中で育まれていくものです。通常,親が我が子に対して「親としての実感が持てること」や,「子どもを理解できる」という自信に支えられて初めて育児は可能となります。母親は出産直後から子どもに没頭する〔母親の原初的没頭(primary maternal preoccupation;Winnicottによる)〕時期があり,子どもの生理的な要求に敏感に反応し子どもを守り育てる行動がみられ,母親として育っていくのです。
残り683文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する