妊娠糖尿病の定義が変更され,約10%の妊婦に管理が必要となった。母児の合併症の予防のみならず,将来,糖尿病,メタボリックシンドロームを発症する可能性があるため,その予防が必要とされている。高血圧は出産年齢の高年齢化で増加傾向にあり,妊娠高血圧症候群を発症しやすい。このため,母児双方の予後は正常妊娠と比較して悪い。また胎児が子宮内にいるため,内科領域の降圧療法とは異なる。抗リン脂質抗体症候群は血栓症のみならず,周産期領域では早産,胎児発育不全,妊娠高血圧症候群に関係する。このため,胎児のwell-beingの観察が必要となる。治療ではワルファリンが使用できないためヘパリンが用いられ,使用時期,中止時期などを熟知する必要がある。このように周産期は非妊娠時とは異なる管理が必要となる。
本特集では経験の豊富なエキスパートに執筆を依頼し,周産期と非妊娠時との管理の相違点を強調し,解説して頂いた。
1 糖尿病を合併した妊婦の周産期管理
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教授 平松祐司
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学 岡本和浩
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学 牧 尉太
2 高血圧を合併した妊婦の周産期管理
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター副センター長・教授 関 博之
3 抗リン脂質抗体症候群を合併した妊婦の周産期管理
日本大学医学部産婦人科系産婦人科学分野主任教授 山本樹生