【質問者】
飯島勝矢 東京大学高齢社会総合研究機構教授
コミュニティで実践するフレイル予防のポイントは,「いかに日常生活の延長上での予防活動に継続性を持たせられるのか」です。この観点では,コミュニティでのフレイル予防は,医療従事者に下支えされたセーフティネットでは限界があることがわかります。すなわち,自治体(行政)や産業,そして住民(当事者)と連携して初めて,日常生活に根付いたフレイル予防に到達するのです。
したがって,コミュニティで実践するフレイル予防の成功の秘訣は,①当事者を含む地域包括的な連携を組み,②個人内,個人間,コミュニティに対する効果的なフレイル予防活動をデザインし,③継続的に実践すること,の3点です。
以下に,その詳細を具体例とともに述べます。
個人内へのアプローチでは,「自分事化」がポイントとなります。当事者が自身の潜在的なリスクを自覚し,実現可能な保健行動とそのメリットを提案することで,意識変容や行動変容を促す仕掛けが必要です。例として,身体的フレイル(その中でも特にサルコペニア)リスクを評価できる「指輪っかテスト」を紹介します1)。
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