No.4902 (2018年04月07日発行) P.19
登録日: 2018-03-30
無痛分娩の安全管理体制を検討していた厚生労働省の研究班が29日に会見を開き、提言を発表した。麻酔管理者の配置や麻酔担当医の明確化、無痛分娩マニュアルの作成などを求めている。厚労省は提言を関係学会・団体のほか、都道府県にも通知する予定。
同研究班は昨年8月、無痛分娩に関する事故報道が相次いだことを受けて設置された。会見で研究代表者の海野信也氏(北里大)は、「研究班としては無痛分娩とそれ以外の分娩のリスクに大きな違いはないと考えているが、麻酔特有の合併症や有害事象がゼロではない」との認識を提示。その上で①診療体制、②研修体制、③情報公開の促進、④インシデント・アクシデントの収集・分析・共有、⑤ワーキンググループ(WG)の設置─を提言している。
診療体制については最新の「産婦人科診療ガイドライン産科編」を踏まえて対応することとし、人員体制に関しては常勤の無痛分娩麻酔管理者の配置と麻酔担当医の明確化を求めた。管理者、麻酔担当医ともに、麻酔科専門医資格、麻酔科標榜医資格または産婦人科専門医資格を有していることを要件に設定。これらは兼務を可能としているが、麻酔担当医に関しては、硬膜外麻酔について100症例程度の経験を有していることが望ましいとした。
また、無痛分娩マニュアルを作成することも要請。その例として、埼玉医大で使用しているマニュアルを参考資料とした。同大のマニュアルは、「0.25%ブピバカインを3mlずつ、3から4回(合計9〜12ml)、カテーテルより注入する」などと書かれている。