糖尿病の診断のための検査,診断基準の詳細については,日本糖尿病学会『糖尿病治療ガイド2014─2015』を参照して頂きたい。糖尿病の臨床診断の手順は図1 1)の通り。
空腹時血糖値は検査前夜の夕食後から絶食し,翌日の朝食前の空腹時(8~10時間程度の絶食期間後)に検査した血糖値で,正常型110mg/dL未満,境界型110~125mg/dL,糖尿病型126mg/dL以上である。空腹時血糖値100~109mg/dLは「正常高値」で,注意を要する。この集団は糖尿病への移行や経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)時の耐糖能障害の程度からみて多様な集団であり,OGTTが推奨される。
随時血糖値は,食事と採血時間との時間関係を問わず測定した血糖値である。200mg/dL以上の場合は糖尿病型となる。
①被検者を朝まで10時間以上絶食の後,空腹のまま来院させる。
②空腹のまま採血し,血糖値を測定する。
③ブドウ糖(無水ブドウ糖75gを水に溶かす。一般的にはトレーラン1397904493G)を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後,30分,60分,120分に採血し血糖値を測定する。
〔空腹時と30分後はIRI(後述)も測定する〕
⑤空腹時血糖値(126mg/dL以上)と75gOGTT(空腹時,または負荷後120分血糖値200mg/dL以上)による判定基準に従い,糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに分類。
【75gOGTTが推奨される対象】
①強く推奨される場合
・空腹時血糖値110~125mg/dL
・随時血糖値140~199mg/dL
・HbA1c 6.0~6.4%(明らかな糖尿病の症状が存在するものを除く)
②行うことが望ましい場合
・空腹時血糖値100~109mg/dL
・HbA1c 5.6~5.9%
・上記以外でも濃厚な糖尿病の家族歴や肥満が存在する場合
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