医学部不正入試問題を受けて1月に設置された文部科学省の「大学入学者選抜の公正確保等に関する有識者会議」(座長=岡本和夫独立行政法人大学改革支援・学位授与機構顧問)は5月31日、全学部の入試で公正性を確保するための方策を「最終報告」として取りまとめた。合否判定において、性別や年齢など属性を理由とする差別的取扱いをしないよう求めた。最終報告を踏まえ文科省は、2020年度入試の実施要項を6月上旬に改定し、周知する方針。
最終報告では、学生募集段階から合格発表までの入試のプロセス全体を通じて、公正性を確保するための方策を提示した。
このうち合否判定の方法については、「特定の個人の恣意的な判断により合否判定が歪められることのないよう、教授会や入試委員会等の合議制の会議体で合否判定を行い、中立・公正な意思決定のための体制を整えることが必要」と指摘。また、受験者の氏名・年齢・性別・出身校・同窓生や教職員との関係など、評価・判定に用いない情報は合否判定に用いる資料に掲載すべきではないと明記した。合否判定の基準については、あらかじめ募集要項等において合否判定に用いる要素、それらの配点や比重等を可能な限り公表する必要があるとした。
その上で、合否判定の際には、①恣意的な特定の受験者の優遇や“順番飛ばし”をしないこと、②属性を理由とする差別的取扱いをしないこと―を要請した。属性については、特定の属性に係る特別枠の設定を行う場合には、広く社会の理解が得られるよう説明責任を果たすことが必要と記載。こうした合理的理由がある場合を除き、性別、年齢、現役・浪人の別、出身地域、居住地域等という属性を理由として一律に取扱いに差異を設けることは不適切であると強調した。