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わが国における着床前診断・着床前スクリーニング検査の今後の展望は?

No.4968 (2019年07月13日発行) P.58

黒田恵司 (杉山産婦人科 新宿 難治性不妊診療部長)

佐藤 卓 (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室)

登録日: 2019-07-12

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  • わが国における着床前診断・着床前スクリーニング検査の今後の展望について,慶應義塾大学・佐藤 卓先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    黒田恵司 杉山産婦人科 新宿 難治性不妊診療部長


    【回答】

    【着床前スクリーニングの導入が,わが国の現状のブレイクスルーとして期待される】

    着床前遺伝子診断(preimplantation genetic testing:PGT)は,体外受精で発生した受精卵(胚)の遺伝的状態を調べる技術です。古典的には重篤な単一遺伝子病の遺伝子変異を持つ患者・保因者の夫婦に実施されており,これはPGT-M(PGT for monogenic diseases)と呼称されます。自然妊娠に引き続く胎児の遺伝子診断では,しばしば罹患児の中絶を余儀なくされることがあり,その中絶の回避がPGT-Mの最大の目的となります。

    近年は染色体診断のためのPGTが数の上で主流です。均衡型転座等の染色体異常を持つ夫婦の事例では,不均衡型転座を持つ胚に起因する反復流産のリスクが高く,これが新たなPGTの適応とされました。さらに,体外受精の不成功の多くが,減数分裂におけるエラー・染色体数的異常胚の発生に原因するという考え方を前提とし,その成績向上を目的とする着床前スクリーニング(PGT for aneuploidies:PGT-A)が欧米を中心に広まりつつあります。

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