子宮筋腫(uterine leiomyoma)は,子宮平滑筋に発生するエストロゲン依存性の良性腫瘍である。全女性の25%,40歳以上では30~40%に認めるとされる。過多月経や頻尿,腹部膨満感などの圧迫症状,下腹部痛などの月経困難症,不妊などを呈するが,閉経後は縮小を認めることが一般的である。閉経後も増大傾向を示すものや急速に増大するものでは,子宮肉腫の鑑別も必要である。
通常は婦人科診察(内診),超音波断層法,CTやMRIで診断される。子宮筋腫はサイズや位置によって症状の有無,程度が変わる。子宮内腔への突出があれば過多月経,子宮漿膜側の膀胱への圧排では頻尿,サイズの増大が顕著であれば,腹部膨満感などの症状を呈す。腹部超音波断層法や経腟超音波断層法による検査で発見し,位置や性状の詳細な把握には骨盤部MRI検査が有用である。MRI検査ではT1,T2強調画像で境界明瞭な低信号を示す腫瘤を認める。子宮筋腫に変性を認める場合はT2強調画像で高信号を呈する。単純MRIで子宮肉腫との鑑別が困難な場合は,造影MRI検査やMRIの拡散強調像による評価を行うことも多い。臨床的に急速な増大,閉経後の増大,変性・壊死を疑う超音波所見など非典型的な所見を認める場合は,悪性腫瘍との鑑別にMRIやPET-CT検査などが考慮されるが,最終的な診断は病理診断による。
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