厚生労働省は8月21日、「2018年労働安全衛生調査」の結果を公表した。傷病のある労働者が治療と仕事を両立できるような取り組みを行っている事業所の割合は全体の55.8%で、うち8割弱が取り組みを行うに当たって困難なことや課題に感じていることがあると回答した。
調査は昨年10月末、10人以上の従業員を雇用する全国1万3927の民営事業所を対象に実施。7658事業所(55.0%)から有効回答を得た。
調査結果によると、がんや糖尿病などの私傷病を抱えた何らかの配慮を必要とする労働者に対し、治療と仕事の両立につながるような取り組みが「ある」と回答した事業所は全体の55.8%で、前年より9.1ポイント上昇した。取り組みが「ある」との回答割合は事業所規模が小さいほど低くなり、従業員1000人以上では87.5%であるのに対し、50人未満では5~6割前後にとどまった。
取り組み内容(複数回答)では、通院・体調等に合わせた柔軟な労働時間設定や仕事内容の調整を行っているとの回答が90.5%と最も多く、次いで「年次有給休暇以外の制度の整備」が28.0%となっている。両立支援の体制整備として、産業医等の産業保健スタッフの配置や対応手順の整理を行っているとしたのは12.5%だった。
取り組みを行っている事業所のうち、困難や課題があるとしたのは76.1%。その内容(複数回答)としては、代替要員の確保(74.8%)のほか、上司や同僚の負担(49.3%)、就業制限の必要性や期間の判断(24.5%)、復職可否の判断(24.2%)、休職を繰り返す労働者への対応(24.1%)などが多く挙がった。