【質問者】
松岡 隆 昭和大学医学部産婦人科准教授
【画像診断を基本とし,今後は母体血中胎児DNAの利用も視野に入る】
胎児骨系統疾患は,妊婦健診で行う胎児計測で長管骨の短縮や変形で気づかれることがあります。しかし,その種類が非常に多い上に1つひとつの疾患頻度が低いため,正確な診断は困難であり産婦人科医にとって悩ましく,「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」でも“胎児大腿骨長(femur length:FL)の短縮が疑われた場合には?”として取り上げられています。
超音波検査は確かにその特性から骨系統疾患に有利ではありませんが,2Dだけでなく3Dの骨を描出するモードなどを組み合わせることでかなりその特徴をとらえることが可能となります。また,third trimesterにおいて行われることがある3D- CTは胎児に放射線被曝を与えるために慎重さが求められますが,出生後のX線写真の診断力に迫る非常に強力なモダリティです。逐次近似法の利用によって被曝低減が可能になってきた近年では有用な検査です。ここまでで確定診断にかなり迫れる可能性はありますが,実際には的確に画像を「読影できる」という条件があります。上述のようにかなり専門的な知識と経験を必要とする骨系統疾患の画像診断ですので,ハードルが高いことも事実です。
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