【ガバペンチンは中枢性・末梢性の両面から,外陰痛を有する女性の性機能を改善する】
外陰痛は女性の性機能に広範な影響を与える。provoked vulvodyniaは挿入時にのみ腟前庭部に限局する痛みを自覚する外陰痛で,多くの因子が関与して発症すると考えられている。
診察時には肛門挙筋に圧痛を訴えることが特徴的である。線維筋痛症の合併も多いことが知られており,ガバペンチンの線維筋痛症に対する効果が報告されていることから,本研究では同薬の外陰痛に対する有効性について確認した1)。
provoked vulvodyniaを有する女性89名が,6週間ずつ無作為にガバペンチンもしくはプラセボに割り付けられるクロスオーバー試験に参加した。本研究の主要アウトカムは,タンポンテストにより評価する外陰痛の改善であったが,これに関してはガバペンチンは有効性を示さなかった。一方で,副次的アウトカムである性機能の指標Female Sexual Function Index(FSFI)は,合計点および欲求・興奮・満足感の3つの項目において,ガバペンチン群の改善がプラセボ群よりも有意に大きかった。特に骨盤底筋の痛みが強い群においては,合計点および興奮に加えて疼痛においても,ガバペンチン群の改善がプラセボ群よりも有意に大きかった。
ガバペンチンには中枢性に興奮を高め,また,末梢性に疼痛を緩和するという両面から,外陰痛を有する女性の性機能を改善する可能性がある。
【文献】
1) Bachmann GA, et al:Am J Obstet Gynecol. 2019;220(1):89, e1-89. e8.
【解説】
寺内公一 東京医科歯科大学女性健康医学教授