1 診療所の差別化戦略としての腹部POCUSと消化管エコー
・ 消化管エコーを始めたのは
・ 臨床医がベッドサイドで診療の一環として行う超音波検査をpoint-of-care ultrasound(POCUS)と呼ぶ
・ 目標とする腹部POCUSのレベルは?他院の腹部単純CTの診断レベル以上を目標にする
・ 診療所での腹部POCUSで最も重要なことは進行癌を見逃さないこと
2 腹腔内はすべてエコーで観察する
・ 解剖学はエコーを行う際の地図である
・ 肝臓・胆囊・胆管・膵・腎・脾・心・大血管・胸水の有無・膀胱・子宮・前立腺はルーチン化してさらっと見る
・ 腹部症状の大部分は消化管に起因している
・ 消化管エコーの走査法
・ 消化管壁の肥厚,消化管の拡張に注目する
・ 消化管周囲の脂肪組織にも着目する
3 様々な腹部症状に消化管エコーを活用する
(1)ディスペプシア(心窩部痛・心窩部不快感など)
①胃潰瘍
②急性胃粘膜病変(AGML)と胃アニサキス症の鑑別
③進行胃癌
④十二指腸潰瘍
⑤機能性ディスペプシア
(2)便秘
①便秘をエコーで確認する
②大腸癌による狭窄を探し出す
③腸閉塞を否定する
④エコーによる必要な下剤の推測
⑤直腸に注目する
(3)下痢
①下痢をエコーで確認する
②小腸をみる
③細菌性腸炎を診断する
④一過性型虚血性大腸炎
⑤直腸から連続性に口側に広がる大腸炎
⑥専門病院に紹介するべき腸炎とは
⑦下痢でも大腸癌に注意!
(4)腹痛
①急性虫垂炎
②大腸憩室炎
③小腸アニサキス症
④移動性盲腸
⑤便・ガス貯留による腹痛(大腸癌も含む)
⑥血管性の病変
4 腹部エコー上達のコツ
①自分の診療に直結する領域のエコーから始める
②徐々に領域を広げ,sonographic generalistを目標とする
③解剖学アトラスを手元におき参照する
④身近なメンターを見つけ判断に迷った症例について教えを仰ぐ
⑤「消化管エコーセミナー」に毎年参加する
⑥畠二郎先生の連載「エコーは推理だ! 読影のポイントと描出のコツ」(メディカル朝日:2020年4月現在休刊)のバックナンバーを読む