【質問者】
永尾重昭 公立昭和病院予防・健診センターセンター長
【発がんのハイリスク症例には,積極的な色素撒布と拡大観察が勧められる】
ご指摘の通り,潰瘍性大腸炎の長期経過例に対する大腸内視鏡によるサーベイランスは,がんの早期発見に寄与し,生命予後にも影響があるとされています。潰瘍性大腸炎から発生する腫瘍は,潰瘍性大腸炎関連腫瘍(ulcerative colitis-associated neoplasia:UCAN)と近年呼称されるようになっています。発がん経路は,dysplasia-carcinoma sequenceをたどるため,早期がんの発見はもとより,dysplasiaを確実に発見する内視鏡観察が求められます。
日本消化器病学会発刊の「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2016」では,発症から8年後にスクリーニング目的の内視鏡検査を行い,その後は1~2年に一度,全大腸炎型および左側大腸炎型を対象にサーベイランス内視鏡を行うことが推奨されています。大腸粘膜の色調・形態に変化がみられる,炎症の活動期における病変の早期発見はきわめて困難であることから,寛解導入期・維持期に評価することが必須条件で,各種薬物療法での病勢コントロールは重要です。
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