経験則の積み重ねで発展してきた東洋医学の治療効果を西洋医学におけるエビデンスに基づいて立証する「漢方の科学化」に向けた研究に力を注ぐ。その1つが、個人間で異なる遺伝子配列の差(遺伝子多型)に着目し、漢方の効果が出やすい人とそうでない人の体質の差異を明らかにしようという取り組みだ。遺伝子のタイプから難治性症状を抱える患者の治療法を合理的に選べるようになることを目指している。
「科学化」のモチベーションは、東西両洋の医学を統合すれば最善の医療を実践できるとの信条に基づく。「東洋と西洋の医学は異なる体系を持ちますが決して矛盾しません。むしろ1つの症状に対し複数のアプローチを組み合わせることでより本質的な診断を下せます」
大学入学前から漠然と東西両洋の医学の統合について考えていたという並木さん。大学では「東洋医学研究会」に入り、漢方の基礎理論や、腹診・脈診・舌診など体質診断の手法を学んだ。
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