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腸管不全関連肝障害(IFALD)に対する脂肪乳剤の影響

No.5055 (2021年03月13日発行) P.44

町頭成郎 (鹿児島大学小児外科)

家入里志 (鹿児島大学小児外科教授)

登録日: 2021-03-13

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 【導入・維持療法には複合脂肪乳剤(CLE),胆汁うっ滞には魚油由来脂肪乳剤(FOLE)を投与】

腸管不全関連肝障害(IFALD)は,短腸症候群や腸管機能不全症の患者における重篤・致死的な合併症で,その発症や進行を予防することは非常に重要である。

IFALDには長期の経静脈栄養やバクテリアルトランスロケーション,敗血症等の多くの因子が関与するが,わが国唯一の脂肪乳剤である大豆由来脂肪乳剤(SOLE)は炎症性サイトカインの基材となるリノール酸を多く含むことに加え,植物ステロールを多く含むこと,抗酸化作用を有するビタミンEの含有量が少ないことが問題となる。

これに対し魚油由来脂肪乳剤(FOLE)はEPA,DHAを多く含み抗炎症効果があり,胆汁うっ滞に対する治療効果の報告を多く認める1)。また,近年では大豆油,魚油に加えてオリーブ油やMCTオイルを複合した複合脂肪乳剤(CLE)が,欧米を中心に広く普及している。最近の報告より脂肪乳剤の適応を検討すると,導入・維持療法にはCLEを用い,胆汁うっ滞の治療にはFOLEを投与することが主流となっている。

CLEは脂質組成も考慮された脂肪乳剤であり,栄養学的な利点を報告する多くの文献がある一方,CLEの長期投与に関する評価の必要性を唱える報告もあり2),今後の継続した検討が必要と考える。

【文献】

1)Kotiya P, et al:Eur J Clin Nutr. 2016;70(10): 1106-15.

2)Choudhary N, et al:Eur J Pediatr. 2018;177(5): 723-31.

【解説】

町頭成郎,家入里志 鹿児島大学小児外科 *教授

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