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【一週一話】心不全患者にβ遮断薬を上手に使いこなすコツ

No.4708 (2014年07月19日発行) P.57

山本一博 (鳥取大学医学部病態情報内科学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • 心不全は左室駆出率が低下している心不全(収縮不全)と,保持されている心不全(拡張不全)にわけられる。エビデンスが確立している拡張不全の治療法はないが,収縮不全ではいくつかの予後改善効果が認められる薬剤があり,その中で最も強力な効果を有するのがβ遮断薬である。しかし,わが国では収縮不全患者の2/3程度にしかβ遮断薬が投与されておらず,さらに,投与されている患者の2/3で,投与量は目標投与量の50%以下にとどまっている。

    β遮断薬を使いこなし,このようなβ遮断薬のunderuseとunderdoseを解消するには,β遮断薬導入に伴う心不全悪化に対する過剰な恐れと,β遮断薬には副作用が多いという思い込みを払拭しなくてはならない。

    β遮断薬を導入する際には,できるだけ血行動態を安定させ,目標投与量の1/8から開始する(カルベジロール2.5mg/日,ないしビソプロロール0.625mg/日)。その後は1~2週間おきに投与量を倍量に増やしていく。これを繰り返すことで1~2カ月間で目標投与量(カルベジロール20 mg/日,ないしビソプロロール5mg/日)に達する。

    増量後はその都度,必ず心不全増悪の有無を確認する。心不全増悪は増量後4~5日くらいで起きる印象があるため,筆者の場合,増量1週間後に外来を受診してもらい心不全増悪がないことを確認してから次の増量ステップに移る。心不全増悪の有無は自覚症状,身体所見(体重など含む),胸部X線で確認し,通常はBNPのチェックはしていない。β遮断薬導入中は,心不全増悪がなくとも血中BNPレベルは上昇する上,月に1回の測定しか認められていないからである。重症心不全患者では,目標投与量の1/16から開始する,増量間隔を長くする,増量幅を1.5倍にとどめるなど,増量プロトコールを変更する。

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