【機構による学位(医学博士)の授与は防衛医科大学校医学教育部医学研究科の修了者で,所定の申請論文の審査および口頭試問の合格者に対して行われる】
学士,修士,博士などの学位は,文部科学大臣の認可を受けた大学で教育を受けた者に授与されます。これに対し,大学でなくとも,大学と同等な水準で教育を受けた者にも学位が取得できる機会を与えてはどうかとの議論があり,大学以外で学位を授与することができる唯一の機関として,学位授与機構が1991年に設立されました。
その後,学校教育法の改正を受けて大学の認証評価が2004年から実施される運びとなり,それに先立って学位授与機構は2000年に大学評価・学位授与機構と改組され,学位授与と大学評価を担当する組織になりました。さらに,行政改革の一環として,2016年に国立大学財務・支援センターと統合し,独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(以下,同機構と略)となって今日に至っています。
同機構における学位授与には,短期大学や高等専門学校の卒業生等で放送大学などでさらに一定の学修を積み上げた者に学位(学士)を授与する制度と,大学の学部および大学院の修士課程・博士課程に相当すると認定された各省庁大学校修了者に学位(学士,修士,博士)を授与する制度があります。
文部科学省が所管していない,防衛医科大学校,防衛大学校,国立看護大学校,水産大学校などの省庁大学校には学位授与権がなく,同機構が学校教育法,大学設置基準,大学院設置基準等の規定に照合して教育課程,修了要件,教員組織,施設設備等を厳格に審査し,大学の学部,大学院の修士課程・博士課程と同等の水準にあると認定した大学校の修了者に対して,所定の審査を行って学位を授与することができます(学位規則第6条第2項)。
ご質問の内容からは,学位(医学博士)の授与にかかるものだと思われます。現時点で同機構が学位(医学博士)を授与しているのは,大学院医学研究科と同等の水準にあると認定している防衛医科大学校医学教育部医学研究科(修業期限は4年)の修了者で,同機構に審査を申請し,所定の申請論文の審査および口頭試問を受けて合格した者に対してです。
審査は,学位審査会の付託を受け,申請論文に対応する医学専門委員会が指名した3名以上の審査委員によって厳正に行われます。この制度は1991年8月30日に認定され,2018年度までに累計499名に学位(医学博士)が授与されています。
同機構の体制,審査等については,参考文献のウェブサイトをご参照下さい。
【参考】
【回答者】
奈良信雄 日本医学教育評価機構常勤理事/大学改革支援・学位授与機構特任教授