わが国では正常な月経周期は25~38日と定義されている。それ以外は月経周期異常であり,90日以上停止した場合を続発性無月経,39日以上の周期である場合を希発月経,24日以内の周期である場合を頻発月経として分類している。日本の平均閉経年齢は50歳前後とされており,40歳未満での閉経は早発閉経あるいは早発卵巣不全として病的無月経に分類される。病的無月経の症例については,原発性無月経であるか,続発性無月経であるかを問診などによって鑑別し,原発性無月経に対しては染色体異常を含む先天性疾患などについて精査を行う場合もある。いずれの月経周期異常も身体所見やホルモン検査,画像診断などを用いて診断を行う。
問診では妊娠・分娩歴や手術歴(特に子宮内膜搔爬術の既往,その他内性器に対する手術),既往歴(卵巣毒性のある抗癌剤などの使用経験等),摂食障害や体重減少などについても丁寧に聞き取る。ホルモン検査では視床下部,下垂体,卵巣のいずれに異常があるのかを検討するために卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体形成ホルモン(LH),エストラジオール(E2),プロラクチン(PRL),甲状腺刺激ホルモン(TSH)等の血中濃度を測定する。
画像診断では最初に経腟超音波により子宮の所見(留血腫などがないか,あるいは子宮内膜の厚さなどの状態),卵巣病変の有無や卵胞の発育あるいは量的な状態(特に月経開始から間もない時期であれば前胞状卵胞数)を評価し,ホルモン検査の採血結果と併せて病態を把握する。Asherman症候群を疑うなど,必要があれば子宮卵管造影や子宮鏡検査も考慮する。
無月経の場合はゲスターゲン検査やエストロゲン・ゲスターゲン検査を行って,第1度無月経あるいは第2度無月経であるか診断する。
治療を組み立てる上で重要なのは「挙児希望の有無」である。それによって方向性が異なってくる。端的に言えば,挙児希望のない場合は排卵をあえて起こさないホルモン療法を選択し,挙児希望がある場合は排卵誘発を行うことになる。
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