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好酸球性胃腸炎[私の治療]

No.5111 (2022年04月09日発行) P.42

木下芳一 (兵庫県立姫路循環器病センター院長,製鉄記念広畑病院院長)

登録日: 2022-04-10

最終更新日: 2022-04-05

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  • 好酸球性胃腸炎は,胃から直腸までの消化管に多数の好酸球の浸潤をきたし,炎症が引き起こされる結果,腹痛,下痢,嘔吐,蛋白漏出,末梢血好酸球増加などが出現する疾患である。原因はアレルギー機序であると考えられているが,詳細は明らかになっていない。

    ▶診断のポイント

    消化管に起因する症状があり,消化管組織への好酸球の病的な浸潤を証明することで診断される。好酸球性胃腸炎は筋層型や漿膜下層型も存在し,内視鏡検査による肉眼所見では60%の例で異常が認められない。生検を行うことが診断につながる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    好酸球性胃腸炎の治療において保険適用を有する治療法はない。また,有用性を示すエビデンスが明確な治療法も限られている。このため,現時点では治療は経験的なものにならざるをえない。

    症状が軽度で末梢血の好酸球増加や蛋白漏出を認めず,全身への影響がない場合には,エビデンスは少ないが抗アレルギー薬が試みられることが多い。

    症状が強い場合や,全身への影響がみられ重症であると判断された場合には,ステロイドの投薬が行われることが多い。ブデソニドなどの局所作用ステロイドの有用性,ステロイドの投薬量や減量のタイミングやスピードに関しては,十分なエビデンスやコンセンサスはない。

    Th2型の免疫反応に関与するサイトカイン等に対する,中和抗体製剤や細胞内情報伝達阻害薬の効果が検討され有用性が報告されているが,まだ開発中である。

    アミノ酸成分栄養食や多種抗原除去食を用いることで寛解が得られたとする報告もあるが,長期の実施は容易ではなく,専門的な施設で多職種の関与が必要な治療である。

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