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PROBE法は何を壊したか [J-CLEAR通信(41)]

No.4697 (2014年05月03日発行) P.45

桑島 巖 (東京都健康長寿医療センター顧問,J-CLEAR理事長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-05

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  • PROBE(Prospective Randomised Open Blinded–Endpoint)法は,我が国の臨床試験のほとんどで取り入れられてきた試験方法である。平たく言えばオープン試験であり,現場の担当医も患者もどちらの群に振りわけられているかがわかる方法であり,ランダム化試験の基本である二重盲検法とは対極にある手法である。Hanssonによって考案されたこの方法は,試験のやりやすさ,費用の面からわが国では瞬く間に普及したが,科学的根拠を導き出す上で本当に適切な手法であったのか否か。本稿では,その点について考察を加えてみる。

    ┃EBMの果たした役割

    evidence–based medicine(EBM)の概念がDavid L Sackettらによって提唱され,華々しく登場したのが1996年。それから18年,瞬く間に医療の世界を席巻した。それまでの経験に基づく医療や実験に基づく医療から,科学的根拠に基づいた医療へと前進させたことは大きな転換であった。そのことによって治療法の多くが大きく変わったことは,紛れもない事実である。
    たとえば心不全や心筋梗塞の治療においては,それまで禁忌とされたβ遮断薬が必須の標準治療薬として定着した。また,抗不整脈薬は催不整脈薬でもあり長期生命予後を悪化させることも明らかになったし,65歳以上の高齢者高血圧においても積極的な降圧薬治療が不可欠であることは今では常識となっている。
    このように大規模臨床試験によるエビデンスの集積によって覆った治療法は枚挙にいとまがない。これはEBMの成果である。

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