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早発閉経,早発卵巣不全[私の治療]

No.5156 (2023年02月18日発行) P.48

高江正道 (聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室教授)

洞下由記 (聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室講師)

鈴木 直 (聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室主任教授)

登録日: 2023-02-16

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  • 本疾患では,40歳未満での卵胞の枯渇ないしは機能異常により,高ゴナドトロピン血症を伴う無月経を呈する。病因は大部分で不明であるが,X染色体の異数性(ターナー症候群など)に起因するもののほか,脆弱X症候群(指定難病)や単一遺伝子異常(BMP15など)によるものが報告されている。また,化学療法や放射線治療,卵巣腫瘍手術などによる医原性の患者も散見される。疫学的には30歳未満女性の0.1%,40歳未満女性の1~2%に発症すると報告されており,しばしば難治性不妊症の一因となる。

    ▶診断のポイント

    40歳未満の女性で,4カ月以上の希発月経または無月経および血中卵胞刺激ホルモン(FSH)値>25IU/Lによって診断される。血液検査は4週間以上間隔をあけて2回測定する。なお,月経周期は整調に保たれながらもFSH値のみが上昇するbiochemicalな段階もあり,抗ミュラー管ホルモン(AMH)などの検査を併用することで早期発見されることがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    本疾患の原因を治療することは困難であり,治療の目的は,低エストロゲン状態によって惹起される,更年期症状などに対するQOL改善,および合併症(特に心血管系障害と骨密度低下)予防による予後改善となる。しかし,ホルモン補充療法に関しては,併存症や既往歴によって実施困難な場合(自己免疫疾患や乳癌の既往など)があるため,その適応について疑問が生じた場合には,専門医へのコンサルトが望ましい。さらに,ホルモン補充療法によって乳癌や血栓症のリスクが上昇することから,患者への十分な説明のもと,定期検診を併用して治療を行うべきである。また,治療の終結については一定の見解はないが,一般的には閉経期である50~51歳まで治療を行うことが好ましいとされている。

    ホルモン補充療法で用いる薬剤と類似する薬剤として経口避妊薬があり,内服方法が簡便であるというメリットを有する。しかし,骨密度維持という観点からは,下記に示すホルモン補充療法のほうが有効であり,漫然と経口避妊薬を継続するべきではない。

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